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『歩けない僕らは』 ジャパンプレミア・レポート

 

 

 映画『歩けない僕らは』は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019の国内コンペティション部門に正式出品され、7月15日、ジャパンプレミアを行いました。

 ジャパンプレミアには、キャストの宇野愛海さんと落合モトキさんと佐藤快磨監督が登壇。

 

 Q&Aでは、現役の理学療法士の観客の方から、「新人の理学療法士さんの最初の挨拶の手順にのっとってぎこちない感じで患者さんに接する感じだとか、担当を変更させられた時の感じがすごくリアルで、心が痛くなりました。」と感想があり、佐藤監督は、「回復期リハビリテーション病院を題材にということで、約1年ほど栃木の病院に通わせていただきました。療法士の方に監修についていただき、ご相談しながらだったんですけれど、回復期リハビリテーションは、国で決められた入院の日数が決められている」とのことで、それを反映したストーリーにしたと話しました。

 

 「登場人物たちがこれから歩んでいく感じに光があるように感じ、素敵に思えた」という観客の方からは落合モトキさんに、「実際は動くのに、左半身が動かないお芝居をする上で、どういったことを意識したか?」という質問があり、「僕も撮影前にリハビリテーションの施設に行かせていただいて、生の現場と患者さんを見させていただいて、言い方は悪いですけれど、観察をさせていただきました。自分の身近な親戚にも下半身が半身付随の人がいるので、見て、演じさせていただきました」と回答しました。

 医療従事者で20年ほど働いているという観客の方からは、「理学療法士さんの1年目の葛藤というのがすごくよくわかって、私もまだ悩みながら仕事をしているので、色々考えながら拝見させていただきました。仮題は『嘘とホームラン』というタイトルだったけれど、変えた理由は?」という質問があり、監督は、「最初は、遥がなぜ理学療法士を目指すようになったかという、遥と遥の彼氏の野球部時代の回想シーンがあったんです」と制作のエピソードが語られました。

 男性のお客さんからは、「人の心の患部にぐりぐり手を突っ込むような映画だった。ラストシーンが印象的だった」と質問があり、「最初ラストは全く違うラストだったんですけれど、取材中セラピストの方が、『回復期リハビリテーションというのは、大切なのは、歩けることではなく、歩いて何をするかっていうことを一緒に考えていくことなんです』と聞いたときに、なんて仕事だ!と思った。患者さんは障害の残り方もそれぞれ違う中で、療法士さんは答えのない毎日を送っていて、そこにやり甲斐を持っていらっしゃって、それを聞いたときに僕の考え方がすごく作為的に思えてしまって、(ラストを変えた)」と話しました。